「パリ Paris」 カメラマン都筑 清の写真ブログ

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カテゴリ:エッセイ( 67 )


2006年 01月 24日

ADSL回線 復活!

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明けない夜はない。

やまない雨もない。

つながらないADSL回線もない!

ついに、開通。

3週間以上に渡るフランス的工事はついに完了。

あっけなく、何事もなかったかのようにつながった。

フランソワよ、ありがとう。

無線LANですよ。どうですって、言われても日本の

先進国の方々からすれば、どうということはないように

思われますが、井戸から水が噴き出した時のアフリカの

人達の喜びを、今の僕はわかちあえる気がします。

さあ、これから今年も頑張りますよ。

新たなる物語は、この芸術橋から始まります。


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なお、返信が遅れていたメールは明日、対応いたします。

by paris-tsuzuki | 2006-01-24 11:34 | エッセイ
2006年 01月 11日

撮影技術解説  飛ぶ鳥を撮る

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アルマ橋の欄干から大きな羽音をたてて、鳩が夕暮れのセーヌ川へと、
飛び立っていく。

そんな瞬間に出くわした時、反射的にカメラを向けてしまうことがある。


今日は「反射的」な状況における撮影の技術について話をします。

まず、鳥が飛び立つ「動感」をどのように表現すべきでしょうか。僕は
写真というものを実はマンガ的に考えています。マンガは絵にセリフが
ついてストーリーになっている。日本のマンガはフランスだけでなく、
今や世界を席巻していると言っても過言ではないでしょう。そのマンガ
の描写技術は写真を撮影する上でも参考になることが、多い。例えば、
マンガでは手を振ったり、パンチを繰り出したりするとき、指や腕の
本数を多く描くことで「動感」を出す。写真で言えば、これは「ブレ」
にあたる。以前にも書きましたが、「ブレ」は写真に躍動感を持たせる
重要な要素と僕は考えています。

今日の2枚の写真を比較して見てみよう。上の写真が僕が撮ったもので、
下は、米国の大学に写真留学している学生の撮ったもの。カメラやレンズ
の画角は違うのだが、全く同じ瞬間に僕達はシャッターをきっている。
「動感」という点に着目すると、上の写真が鳩の羽が適度にブレている
のに対し、下の写真の鳩の羽が止まっているのに気付くだろう。これが
シャッタースピードの違い。上は1/100秒、下は1/4000秒。すなわち、
シャッタースピードが上がると動きが止まってしまうということ。


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では「反射的」は状況に対応するには、どうすればいいのか。それは
準備にある。つまり、あらかじめカメラの設定を決めておけば、どんな
状況でも素早く撮れる。これ以上は、専門的になり過ぎるので簡単に
書きましょう。一眼レフのデジタルカメラでスナップを撮る場合、モード
設定は通常「A」と表記される絞り優先モード。絞り値はF4。シャッター
速度が1/100秒〜1/200秒ぐらいになるようにISO値を設定しておく。
ホワイトバランスはオートではなく、光線状況によって晴天モードか
曇りモードにしておく。このあたりがポイント。参考になれば、幸いです。

大切なことはカメラの設定に縛られることではなく、見つけた瞬間に
楽しく撮ること。パリをカメラ片手に散歩するのは、最高に楽しい。
こんなに素敵な被写体にあふれる街を歩き回ること自体、本当の贅沢な
ことだと、僕は思う。




まだ、ADSL回線は死んでいます。
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by paris-tsuzuki | 2006-01-11 23:45 | エッセイ
2006年 01月 09日

それは、あまりにもフランス的な vol.2

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1月9日 午前

今日こそ、インターネット回線が復活する。期待を胸に朝を迎えた。
朝一番でフランステレコムから電話があり、修理の技術者は30分後
に到着。順調な滑り出しだ。

僕はフランス語で事態を説明し問題のモジュラージャックを指差す。
技術者は感じのいい人で、てきぱきと、回線をチェックし始める。
問題はないようだ。いや、問題があるから呼んだのだ。電話は通じる
けれどもインターネットの回線が通じていない。

「この LIVE BOX(モデムの名前)は、いつ買いましたか」

「確か、12月30日です」

「それでは回線はまだ来ていませんね、通常、二週間はかかります」

「・・・・・      」

『どーいう事なんだよ。この間、フランステレコムに電話した時には
 回線工事は終わったって言ってたじゃないか。何が通常は二週間だ。
 その間、どうしろって言うんだ。それじゃあ仕事にならないんだよ』
 と心の中で叫んでみたが、この不条理に対する怒りをフランス語で
 表現するだけの能力が僕にはない。

「それは、通常のことですか」

 怒りを押さえた声で、そう聞くのが精一杯だった。

「少々お待ち下さい。局に確認をしますから、、、」

そう言って技術者はフランステレコムに電話をかける。

そして、幾つかの部署に電話をした後、彼は専門用語を駆使して長い
説明をしてくれた。僕は耳だけでなく、目も大きく見開くようにして
必死になって説明を聞く。時折、電子辞書をも駆使しながらようやく
彼の説明を理解した。フランステレコムの中央管理センターのモデム
工事が終わっていないため、ADSL回線が使えない。いつ工事が終わる
のかは、フランステレコムに電話をしなければならないとのこと。

技術者はさっさとモジュラージャックを新品に取り替え、せっせと
請求書を作成し始める。

しかし、どう考えても納得のゆかない話だ。モデムが壊れたので新しく
した。その時、通信速度をあげるためにコース変更をした。その通信
速度をあげる工事をするのに二週間もADSL回線を切断したまま放置する
というのは、どういう事なのか。仕事にも重大な支障が生じている。
僕は頭を振りながら小さくため息をつき、携帯電話に手をのばす。

「フランソワー、今、技術者が来ているのだが、、、、」

フランソワに技術者と電話で話してもらうが、結局、同じ事だった。
請求書を見る。工事料金87.33ユーロ(約12,000円)痛い出費だ。

「ツヅキ、フランステレコムの申込書を見てみろよ。ライブボックスの
最初の一ヶ月間のモデムレンタル料が無料になっているだろう。つまり、
一ヶ月間はほとんど使えないからなんだよ」

フランソワの言葉に従い、あらためて申込書を見ると、確かに一ヶ月間
無料と書いてある。しかし、それが一ヶ月間ネットが繋がらなくなるとは
想像することすら出来なかった。その、あまりにもフランス的な事態に
僕は書類を広げたテーブルの上に額をつけ、突っ伏してしまった。


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これがフランステレコムの誇る最新型モデム" LIVE BOX " さすがに
フランスだけのことはある。素晴らしいデザインだ。フランステレコム
のロゴマークが間歇的浮かび上がる姿は近未来的。日本で売り出せば
グッドデザイン賞ものだろう。しかし、全国から苦情の嵐が押し寄せる
ことも確実。当分の間、僕はインテリアとして楽しむ他ないようだ。




今日はもうひとつ、このような事態に陥った時のフランスの代表的な
ジェスチャーをご紹介しましょう。

まず、両方の手のひらを上に向け、唇をぎゅっと閉じる。この時、唇の
両端を下にさげるようにするのがポイント。そして、額にシワが出来る
ぐらい目を大きく開け、手のひらを外側に向けるようにしながら大きく
肩をすぼめて下さい。

さあ、パソコンモニター前の皆さんも、御一緒に!


『こりゃ、ダメだ』という場面で、フランスではとても日常的に使われ
ています。


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by paris-tsuzuki | 2006-01-09 03:21 | エッセイ
2006年 01月 08日

それは、あまりにもフランス的な vol.1

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事の顛末は以下のような経緯をたどった。

2005年12月29日 マッキントッシュ(以下マックと略す)と
インターネットを繋ぐモデムのコードに足をひっかけ、コードが切断
された。そのモデムはとても古いタイプのもので元々マックとの相性
も悪かった。そこで、古いモデムは修理もきかないのでモデムを買い
替えることにした。どうせなら、コードをひっかけないように無線
LANにしようと僕は思い立った。そこで僕がフランスで使っている、
プロバイダーwanadooの親会社であるフランステレコムに電話をし
ようと思った。フランス語で何と説明するか辞書を引きながら、あら
かじめ構文を作ってみたが、多分フランス語で電話で説明をするのは
難しいと思い、フランス人の友人、フランソワに電話をした。彼は
笑いながら「それはツヅキには出来ないよ、僕がやってあげるよ」
フランソワの安請け合いが、後の悲劇を呼ぶとはその時は想像する
ことすら、出来なかった。

こうして、年末から年始にかけてのネット狂騒曲が始まった。

1、12/29 フランステレコムは時間がかかるので市販のモデムを買う。
  
2、無線LANにすると回線速度があげられるので、フランステレコム
  の窓口に行きコース変更をする。

3、自宅に帰りモデムをつなげるが接続出来ず、この日は終了。

4、12/30、フランステレコムに行き純正のモデムに変更し、市販の
  モデムを返品する。

5、再び、自宅でチャレンジする。フランステレコムのサービス
  ダイヤルに電話するがインターネットに接続できない。

6、フランステレコムの他の部門に電話をしたところ、コース変更
  をしたので回線工事のため翌年1/3まで回線を切断したとのこと。

7、何時間も設定を繰り返したあげくの答えがコレだった。結局、
  「日本には年を忘れる会がある」と僕は言って、フランソワと
  忘年会をした。12/30

8、1/3、回線の反応なし。1/4、回線の反応なし。撮影日程がはいって
  いたため忙しかった。

9、1/5、フランステレコムに電話。回線に異常なく工事は完了した
  とのこと。

10、緻密に分析を重ね、検証を行ってみた。なぜ、回線が繋がら
   ないのか。モデムのセッティングもマックの設定も完璧。
   フランステレコムの回線も工事が完了している。唯一、
   考えらる可能性は電話のモジューラージャックだった。

11、電話線とADSL回線の接触部分の問題しか考えれれなかった。
   そこで、接触部分を分解してみた(写真参照)。
   ココしか原因は考えられない。

12、接触部分のゆるみを締めてモジュラージャックを繋ぐ。
   回線が繋がる。フランソワと握手して、今までの苦労の
   礼をいう。完全復活。

13、愚かにも僕はジャックのカバーをしていなかったので、
   カバーをとりつけるため、いったんジャックを外した。
   それから、2度と回線が復活することはなかった。
1/5〜1/6深夜にかけて数十回、試みる。

14、1/6、近所のフランステレコムの営業所に行く。工事が
   必要だからだ。フランステレコムと修理の工事をする会社
   は別会社とのことなので、何回か電話を書け直す。


15、モジュラージャックの工事は「とても運がいいことに」
   1/9の月曜日に来てくれるそうだ。


文章にすると、とても読める量ではありませんので箇条書きにて
事態の経緯を説明させていただきました。


それは、あまりにもフランス的。一向に事態は解決の方向に向かう
様子はなく、遅々として進まない。

これが「フランス」だそうです。友人は2ヶ月も電話が繋がらなく
なったと、フランソワは笑っている。

1月9日に回線は復活するのか、乞う御期待。


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この場を借りて、フランソワに礼をいう。ありがとう。

そして、緊急のメール以外、返信出来ない状態をお許し下さい。

このような状態でもパリのマクドナルドからこのブログをあげています。
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by paris-tsuzuki | 2006-01-08 08:00 | エッセイ
2006年 01月 03日

パリのクリスマスとお正月について

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年も明けたというのに、何をいまさらクリスマスツリーの写真なのか。
そう思った日本の読者の方に、今日はパリのクリスマスとお正月のリアルな
レポートをお届けします。
まずは、クリスマス。日本では12月25日を過ぎるといっせいにクリスマス
ツリーを片付け、街は正月の飾り付けへと移行します。しかし、パリではクリ
スマスツリーを一向に片付ける様子もなく、新年を迎えます。不思議に思った
僕はフランス人の友人にコレは一体いつになったら片付けるのかと尋ねてみた。
彼が言うには、フランスにおける「ノエル」という概念は12月24日からの
約10日間にわたる「ノエル休暇」のことを意味しているので、1月3日ぐら
いまではクリスマスツリーが街の中に放置されているとのこと。わかりやすく
言えばフランス的に、片付けるのは休み明けにしようということだと思う。
一方、日本ではクリスマスが終わるやいなや、必死になって正月の飾り付けが
始まる。そして、ゆく年くる年で除夜の鐘が鳴る。一体、この国にとって宗教
とは何なのだろうか、という疑問が頭をもたげる。いや、疑問を持つ余裕すら
なく、わずか3日間の帰省のためにラッシュと渋滞という民族移動が行われる。
さらに奇妙なのは、そうした季節行事を僕達のほとんどが実際には見ることも
なく、テレビというメディアを通じて共通の体験を持っていることではないだ
ろうか。つまり、レコード大賞、紅白歌合戦に始まり、筋肉番付、隠し芸大会
年末、年始の特別番組というテレビによってしか、本当は季節感を感じられな
いのでは、と日本にいた時は思っていた。
残念ながら、この現象はパリも同様。似たりよったりの番組が放映されている。
ノエル休暇でパリの人々はまた地方に脱出し、中心部は観光客でごったがえす。


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2006年 新年を迎えた瞬間。

特に何のイベントも催されてない
のだが12月31日の午後11時
半を過ぎると街の中がざわめく。

独特の浮ついた落ち着かない空気
が街のなかに漂う。

これは、何かあるはずだと早足で
シャンドマルス公園へと向かう。

本当は、特に何もない。
ただ2006年になったその瞬間
周囲からは歓声があがり、誰かが
持って来た自前の花火が、夜空を
彩る。

人々は立ったまま、これまた持参
のシャンパンを開け仲間と乾杯。

そして、恋人達は抱き合う。



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by paris-tsuzuki | 2006-01-03 08:04 | エッセイ
2005年 12月 30日

2023年のパリ

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イギリスに単身赴任している男性からメールをいただきました。
日本から妻子を呼び寄せ、パリでクリスマスを過ごすので記念に撮影をして欲しい、
とのこと。僕はその心意気に感動し、何度かのメールのやり取りをして日程や時間を
調整していく。三歳のお子さんを長時間、寒い戸外で撮影するのは危険。撮影時間は
せいぜい2、30分。奥さんのためにヘアメイクを頼み、撮影にのぞんだ。単なる
記念写真となっては、プロとしての沽券にかかわる。カッチリしたものと自然な感じ
の写真で、家族で過ごしたパリの時間を素晴らしい想い出にできれば、と心を込めて
撮った。

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この写真を撮っている時に、僕は
ふと、思った。

この子が大きくなった時、こんな
写真を撮られたことなど、覚えて
いないかも知れない。

でも、プロカメラマンを雇って
までして家族の想い出を残した
お父さんの気持ちを決して忘れ
ないだろう、と。

2023年。この子が二十歳に
なった時、パリはどうなっている
だろうか。きっと、此処の場所は
変わっていないはずだ。

2023年のパリで、僕は彼に、
再び、ここに立ってもらおう
か、などと夢想してしまった。




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by paris-tsuzuki | 2005-12-30 06:16 | エッセイ
2005年 12月 26日

日仏生活比較学論序説 vol4 ノエルとクリスマス

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フランス語でクリスマスのことを
ノエルと言う。日本語ではクリス
マスの事を基督聖誕祭とも書ける
が一般的にはクリスマスという、
外来語がそのまま使われている。
そこで本稿では、フランスのクリ
スマスをノエルとし、日本のそれ
をクリスマスと表記して、両者の
文化的な比較を論じようと思う。

ノエルもクリスマスも国民的行事
となっている点では、もはや共通
と言っても過言ではない。

しかし、僕はこの約一ヶ月間の
パリの様子を見てきて、ノエルと
クリスマスは根本的な部分で違う
ものだ、という結論にいたった。

一言でいえば「宗教」と「商業」
日本では、クリスマス商戦という
言葉があるように「商業的戦争」
としての色彩が色濃い。


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すなわち、クリスマスとはプレ
ゼントを買い、普段よりも高価
なものを食べるという商業的な
消費行動のための行事としての
位置づけがなされている。そこ
に宗教的色合いはほとんど感じ
られないのが国民の一般の意識
ではなかろうか。

もちろんパリにも大型デパート
を筆頭にノエル商戦なるものは
存在する。市内の各所で特別な
市場がたつ。しかし、それは、
ノエルという宗教的行事のため
に贈り物がどうしても必要であ
り、特別な食事を用意しなけれ
ばならないという、脅迫観念の
ようなものですらある。

この空気感の違いは、24日の
午後11時45分に地元の教会
に行ってみて、僕は、はじめて
わかったような気がした。


12月24日は、店が早く閉まる。夜10時までやっているスーパーは
8時に閉店し、駅前のカフェも早じまいする。なぜか。ノエルの夜は家族で食事を
しなければならないからである。それは日本で正月に親戚一同が集まるようなもの。
これに出席しないとは何事だ、という雰囲気すらある。もちろんフランスでも離婚が
増え家族といっても複雑になっている。しかし、嫌でも一家が集まり気詰まりな程の
緊張感の中、食事を一緒にしなければならないという伝統が今でもある。そのため、
ノエルの夜は早じまい、ということになるのだ。「宗教」が「商業」よりもはるかに
重点が置かれていることの象徴ともいえよう。

そして、夜の11時半過ぎ。商業的な国が出身の僕は、ワインだけはしっかり飲むと
宗教的な現場を見るために外にでた。人影のまばらな商店街を抜けると近所で一番、
大きな教会につきあたる。酔っぱらいが消防署員に介護されている姿があるだけで
あたりは閑散としていた。重く大きな木の扉を押し開け、僕は教会の内部へと足を
踏み入れた。

教会の中は立錐の余地もないほどの人。高い天井に荘厳なパイプオルガンの音が
響き渡る。まさに、ミサの真最中であった。奥の一段高くなった演壇の上では、
白装束に身を固めた何人もの神父さんが儀式をとり行っている。聖書を読み上げ、
ときおり皆が声をそろえ「アーメン」と唱える。まさに厳粛な空気がそこには存在
していた。日本でも大晦日に放映される「ゆく年、来る年」などでは厳粛な高野山
の僧の姿が映し出される。あの映像を見て新年を迎えるにあたり襟をただす気持ち
が日本にはある。それに近いのが、パリのノエルではなかろうか。深夜にもかかわ
らず、教会の中には厳かな空気が漂い、僕はノエルの本質はここにあると感じた。

「宗教」と「商業」この日仏のクリスマスに対する本質的な違いは各所に表われる。
例えば、食事。フランスではジビエと言って野生動物の肉をノエルに食べる習慣が
ある。鹿、イノシシ、鴨といった肉料理を伝統的な手法で各家庭で調理する。自然
の恵みに感謝すると同時に肉が貴重だった時代の名残でもある。それを前述したよ
うに家族が集まり家庭で食べなければならないのだ。したがって、パリではカフェ
やレストランでノエルの食事をとるのは観光客か家庭のない特別の事情を持った人
ということになる。それが、「宗教」的な習慣となっているからだ。

一方、日本では恋人同士がクリスマスという特別な日を高級レストランで食事をし
たり、高価なプレゼントを交換しあうという、特別な商業的消費行動によって祝う
習慣がある。あるいはや友人同士が集まり、クリスマスパーティーと称する「冬の
お花見」とも言える集会を催す習慣がある。また、僕がインターネットという小さ
な窓を通して海外から日本という国を覗き見たとき、イルミネーション合戦という
状況に気がついた。目がチカチカするような多色の電飾を競い合っているらしい。
なぜイルミネーションを競い合うのか。なぜなら、きれいな電飾が話題となれば、
多くの人が集まり、人集まるとこに金集まる。という商業的な論理が厳粛なまでに
存在していることに気づいた。なるほど。日本におけるクリスマスとは、まさに
「商業」的な習慣なのだ。

僕が言いたいことは、フランスは「宗教」的だから純粋で素晴らしく、日本は
「商業」的だから不純で間違っている、ということではない。もはや定着している
各国の同じような習慣の裏側に、こんなにも違う本質が存在するということを
明らかにしたかっただけである。

では、なぜクリスマスという習慣が全世界的な習慣ないし、イベントとなったので
あろうか。少なくとも、日仏という両国のクリスマスを見た僕が感じたのは「夢」
を与えてくれるから、だと思った。すなわち、サンタクロースが、贈り物を届けて
くれる、子供達に夢を与えるファンタジーが、各国の習慣をこえて支持されている
理由なのではないか、と僕は感じた。


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by paris-tsuzuki | 2005-12-26 02:05 | エッセイ
2005年 12月 12日

パリでポートレイトを


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御覧の女性は女優の中山美穂さん
ではない。ブログを見て下さった
読者の方。僕のウデを見込んで、
ポートレイトの撮影を依頼して
下さった。パリに留学経験のある
音楽家の方で、今度のコンサート
のパンフレットに載せる写真を
撮って欲しいとのこと。今は日本
で活動をしている彼女は旧友との
再会をかねてパリを訪れた。
メールで連絡をとり日程を調整。
撮影当日は14時にサントノレの
有名美容室トニーアンドガイに
はいってもらい、ナチュラル系で
ヘアメイクをしてもらう。30分
ほどで仕上がるとヘアメイクさん
と三人でパレロワイヤル方面へ。
「このあたりがいい感じ」など
と言いながら街の中で撮影する。
パリの美しい街並を背景にすると
やはり絵になる。東京で撮影する
よりもはるかにストレスがない。
しかし、表情はまだ硬い。


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プロのモデルでも最初は、表情は硬いもの。
「セーヌへ出てみよう」皆でおしゃべりを
しながら移動する。ときおり立ち止まったり
歩いたりしながらシャッターをきっていく。
東京でこんな風に撮影していれば、誰もが
好奇の目で見るものだが、ここはパリ。
誰かに見とがめられることもなければ、
警備員がすっとんでくることもない。
自由の風が吹いている。留学時代の話や、
友達の話をしているうちに表情の硬さも
とれてくる。

セーヌ川の岸辺にやわらかな午後の光が
降りそそぐ。時折、ヘアメイクさんに髪
直してもらいながら、シャッターをきる。


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ポンデザールの上にあがる。セーヌを渡る風は心を自由にしてくれる。
逆光、ハレーションは承知のうえ。やわらかなポートレイトが撮りたかった。


近くのカフェでマッキントッシュを広げ画像を確認。その場でCDRを渡す。

パリの時間を想い出と共に残すことが出来れば、と思い撮影しました。


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by paris-tsuzuki | 2005-12-12 08:05 | エッセイ
2005年 12月 05日

フランス万歳! Vive la France.

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今日はフランスのテレビ番組「ミス・フランス」の模様を実況中継。
この番組、海外県も含めたフランス全土から集まった美女が「ミス・フランス」の
栄冠を競う。夏頃から続いていたこの番組も今日が最終回。いよいよ、ミス・フランス
が決定される。タキシード姿の精力的な感じの中年男性が司会をつとめる。さしずめ
フランスの「みのもんた」といったところ。「さあ、皆さん。今日が最終審査。いよ
いよ審査が始まります。審査はなんと、ビキニ。ビキニ、ビキニですよー」と会場を
盛り上げる。米国あたりだと、こんな番組はきわめて性差別的ということになるの
だろうが、ここはフランス。僕がちゃんと聞き取れた単語は「ビキニ」だけだったが、
3回も言われれば、よーくわかる。カメラを構えて、スタンバイ。


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審査員席には俳優ジャン・レノの姿も。
いつも、映画で見ている渋い印象とは
異なり、なんだか、とても嬉しそう。

ちなみにテレビモニターを撮るのには
少々コツがいる。シャーター速度が、
速すぎると、走査線が写ってしまう
からだ。目安としては、1/30秒から
1/60秒の間が一番きれいに撮れる。


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思わず、「オー」とか声が出てしまう。
情熱的なサンバのリズムにのり、次々
と美女がステージ中央へと踊りながら
進み出る。パリコレのファッッション
ショーのウオークとは微妙にリズムが
違うな、などと職業意識が頭をもたげ
てくる。手ぶれを防ぐために椅子の背
にヒジを固定し、馬乗りの体勢で撮る。


冬のパリはすっかり無彩色の街となり、外は冷たい風が吹いている。
色彩にあふれ、暖かそうなテレビの中の世界に、僕はすっかり引き込まれていた。


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ミス・フランスの栄冠は彼女に決定。
僕が秘かに応援していた女の子では
なかったけれど、感涙にむせび泣く
姿に「みんな、よく頑張った」と
思わず、もらい泣きしそうになる。
きっと、今の僕と同じ気持ちをもつ
オヤジがフランス中にいるはずだ。
居間のテレビの前でワイングラスを
片手に、ビキニのお姉さんの踊りに

あわせて巨体をゆするようにして踊っていたであろうオヤジは
フランス全土で、ざっと200万人は下らないと、僕は読む。

気がつけば、1時間半以上が経っていた。テレビの前で椅子に馬乗りになって、
すごい集中力で撮影していた僕も、ようやく我にかえる。

なんだか、分からないがスゴかった。セクシーな表現に対するこの国のおおらかさ、
そして、スケベ根性まる出し、オヤジ感覚満載の番組構成。それを許容する国民性。
わかりやすい国ですよ、この国は。いやー、フランス万歳!


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by paris-tsuzuki | 2005-12-05 00:19 | エッセイ
2005年 12月 03日

日仏生活比較学論序説 vol.3 スーツと制服文化

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こちらのスーツ姿の男性。
いかにもパリのビジネスマン
といった様子。ネクタイの色
とバッグの色をうまくコーデ
ィネイトしている。どこのブ
ランドのバッグかを聞くと、
申し訳なさそうにロンドンの
メーカーのものだと、答えて
くれた。

ところで、パリでスーツ姿の
男性を見かけることは日本と
比べると格段に少ない。それ
はなぜなのだろうか?

まず、フランスは基本的には
農業国であり銀行員や証券業
など、スーツを着なければなら
ない職種についている人口その
ものが少ないことがあげられる。

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逆に考えてみよう。なぜ、日本は
スーツ姿の男性が多いのだろうか。
それは、制服文化に原因があるの
ではなかろうか。スーツを着ている
イコールちゃんとした仕事をして
いるという図式から、本来、スーツ
を着る必要のない仕事をしている人
もスーツを着なければ、という気持ち
にさせられるのでは、なかろうか。

「人を外見で判断してはいけない」
という言葉があるが、服装は本来
とても多くの視覚的情報を内包して
いる。つまり、身につけるものは、
その人がどういうモノを買うのか、
という個人の選択肢の集大成的な
ところがある。したがって、その人
の服装を詳細に見ていけば、何が
好きで、何に一番の興味があるのか
がわかる。すなわち、本来「人は
外見で判断が可能」なのである。


要するに、服装は個人の内面を外部に表現するものなのだが、それを
阻むのが制服文化。日本はフランスに比べて、実に多種多様な制服が存在している。
例えば、飲食店に行けば中華料理屋ではチャイナ服を着た人が働き、キャンペーン
ガールが街のいたる所で何かを配ったりしている様子がうかがえる。パリのカフェ
でも、いわゆるギャルソン服を着ているのは、ごく一部の店に過ぎず。エプロンさえ
もしない人が立って働いているようなので、この人がお店の人なのだな、と判断する
ほかない。確かに、制服には「この人は何をしている人だ」ということを明確にわか
らせる機能がある。しかし、同時に制服はそれ以上のことは、決して語らないという
防御機能があるように思えてならない。その背後には「○○らしく」という日本の
伝統的道徳概念が横たわっている。例えば、「もっと、女の子らしく、、」という
言葉や「その態度は男らしくない」という慣用句が存在しているように、「○○らし
い」という事が日本ではとても大切なことにされている気がする。それは、男女の性別
だけでなく、ありとあらゆる分野に及ぶ。「○○らしく」あるために、制服が必要と
なるのだ。そのため「ちゃんとした仕事をしている」ということを示すために、それが
必要ではなくとも、スーツを着るという行為につながる。だから、日本では、スーツ
姿の男性がとても多いということになるのでは、ないだろうか。
 一方で、日本という国は制服文化の防御機能が必要なのでは、とも思う。つまり、
制服を着用することで、それ以上、余計な他人からの干渉は受けないという、いわば
防波堤的な役割がある。スーツを着て会社の名刺をだせば、それ以上の詮索はない。
制服を着ていれば一目で女子高生とわかる。ただ、それ以上の個人としての人格は
表現できないし、知られたくない。そのため、制服を着用するのが望ましいという
論理になる。
 かかる制服文化を踏まえたうえで、日本の格言は意味を持つ。
「人を外見で判断してはいけない」なんらかの制服に包まれている限り、その人の
本当の内面は理解できない。ということを、この格言は伝えているのかも知れない。


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by paris-tsuzuki | 2005-12-03 07:19 | エッセイ