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2006年 03月 22日 ( 1 )


2006年 03月 22日

フランス CPE(初期雇用契約法)vol.5

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この話題は今日でとりあえず区切りとします。まずはクリックよろしく
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<CPE(初期雇用契約法)の背景にあるもの>
1、政府ないし立法者側の考え方
CPEは雇用を促進するためのものと政府側は考えている。それは、なぜなのか。
フランスの雇用の現状に立ち返って考えてみよう。フランスの雇用契約は長期
雇用が原則となる。すなわち企業側はいったんこの契約をしたら実質的に解雇
は出来なくなる。なぜなら辞めさせるには莫大な保証を払わなければならないと
法律で決まっているからだ。したがって、この制度のもとではリストラは不可能と
いうことになる。リストラをすることの方が高くついてしまうからだ。リストラができ
ないこの国では新しい人を雇わないという方向に向かう。だから若者の失業者が
増えてしまった、という構造だ。そこでCPEという26歳未満の人は2年間を試用
期間として自由に解雇できる権利を企業側に与えれば雇用に二の足を踏んで
いた企業側もCPE契約という形で若い人達に雇用の機会を与えるでしょう、という
考え方だ。また、この期間中は雇われた若者は仕事の時間中、あるいは仕事を
休んでも技術講習会や研修会等に参加してよいという権利を与えている。
その間は仕事を休んでも保証された給料は減らされずに払ってくれるという制度。
しかも、この法律は26歳以降には適用されないから、それ以降は通常の長期雇用
ということになる。つまり、若いうちは仕事の経験を積むと同時に資格や技術を社外
で身につけてキャリアアップしていきましょう。という趣旨とも読める。このようにして
CPEを見てみると、あながち極悪非道な法案とは思えない。

2、学生ないし労働者側のものの見方
では、ある種の合理性をもつCPEをなぜ学生のみならず労働者や多くの国民が
否定的に考えるのであろうか。
まず、学生ないし労働者の権利を不当に侵害するものだという考え方。今まで保護
されてきた長期安定雇用を若者に限るとは言え不安定にするものであり、ひいては
子供達の将来を脅かす制度と考えている。ただ、この考え方というか感情に近い思い
いれはフランス独特なのではないか、と僕は感じた。つまりフランス人は若い学生達も
含め、いまだに終身雇用を当たり前に考えているということ。単純に日本と比較してみ
よう。大学を卒業して企業に入り3ないし5年以内に転職あるいは同じ業界内の別の
会社に移るひとは、日本では今、珍しくはない。実務経験と技術を身につけてキャリア
アップしていくという、アメリカ型の労働形態はもう日本では定着しているのではなか
ろうか。会社を辞めて別の会社に移ったとしても「何か問題があったから会社を辞めた
のでは」と考える人はよほど保守的な親御さんでもないかぎり、今の日本ではなくなり
つつある。このように日本の現状と比較してみると26歳までは終身雇用が保証されない
のは不当だと叫ぶフランス人は今どき独特だな、とも映る。では彼等はなぜ、それほど
までに終身雇用にこだわるのか。まずは伝統的な周囲の環境。フランスでは公務員や
半官半民会社で働いている人がとても多い。そういう環境であれば企業であっても国
と同じぐらいの保証をして欲しいと思うのも自然な感情なのであろう。またフランス人の
人生観にも関わってくる。すなわち、仕事よりも大切なのは「人生を楽しむこと」。仕事
などという不粋なものにあくせくするのではなく、いかに素晴らしい人生を送るか。何より
次のバカンスはどこに行くべきかの方が人生にとって大切なこと。そのためには雇用を
不安定にすることなどもってのほかだ、と考える人も多いのではなかろうか。

以上は僕の個人的な見解に過ぎませんが、この国にいて感じたことでもあります。


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報道関係者も一般人もマニフの時はバス停や信号機の上に登る



<CPE問題、今後の動向について>
1、今後のタイムテーブル
20日夕刻までにCPE法案の撤回がなければゼネストに突入する旨、労働組合が通告。
ドビルパン首相は法案の撤回を否定。これにより、3月28日フランスの全交通機関は
運行を停止するゼネラルストライキにはいり、同日ふたたびフランス各地で抗議デモが
行われる予定。この日にフランスを訪れる方はご注意下さい。なお、タクシーは動いて
いると思います。

2、大統領選をにらんだ動き
フランスは来年に大統領選をひかえており、次期大統領の座をめぐり今年のCPE問題
の処理いかんによって、大きな影響がでる。ここで現政権の構造を振り返ってみよう。
現在シラク大統領のもと保守系右派がフランスの政権をにぎっている。しかし、シラク
大統領は高齢のため来年の大統領選に出馬しないことはもはや、常識となっている。
それでは次期大統領候補は誰なのか。まずは現在首相のドビルパン氏。エリート階級
出身のドビルパンは紳士的な容貌とあいまってリベラルなイメージがある。しかし、今回
のCPE問題の処理を誤れば政治的に失脚しかねない状況。対抗馬は現在内務大臣の
サルコジ氏。ハンガリー系移民の子に生まれた同氏はいわば叩き上げの人物。去年の暴動
の際「暴動を起こしている奴らはクズだ」という旨の発言をして問題となった。そのため、
今回のデモに対してはとてもソフトな対応をしているように見受けられる。移民問題に
ついても強硬な意見をもっておりタカ派的な印象だが、保守層に支持されている。
この2人が来年の大統領選で雌雄を決すると見られている。かかる政治的状況を前提に
CPE問題の今後をみてみよう。
まず、ドビルパンがCPE法案を撤回することはありえない。なぜならこれを認めてしまえば
自らの失政を認めることになりメンツ丸潰れとなって政治家としての生命も終わりかねない
からだ。そこで、今後の展開は上院で法案としては可決されたが、その制定過程において
手続き上の問題があったとして行政手続きの最高裁判所が議会にCPE法案を議会でもう
一度審議するように差し戻すことが考えられる。手続き上の問題ということであればドビル
パンのメンツも保たれる。そこで、議会でもう一度じっくりと審理するという流れになるの
ではなかろうか。

以上、この問題については時事的な話題ですので今、ここでまとめておこうと思い書いた
次第です。CPE法案の日本語訳について「社労士FPのメモ」というサイトを参照させていた
だきました。http://blog.goo.ne.jp/habayasu/e/c7d43c50bf854a0c78896d97d9f6e674

長々と申し訳ありません。明日からは、また別のテーマでブログを書いていきます。
読んで下さってありがとうございます。今日もクリックよろしくお願いいたします。
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by paris-tsuzuki | 2006-03-22 03:14 | ジャーナリズム