「パリ Paris」 カメラマン都筑 清の写真ブログ

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2006年 03月 17日 ( 1 )


2006年 03月 17日

CPE(初期雇用契約)法案に対する抗議デモ拡大の動き vol.1

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3月16日(現地時間14時)パリ市内プラスディタリーから官公庁
の多いセーブルバビロンまで、学生を中心に約3万人がCPE(初期
雇用契約)法案の撤廃を求め抗議のデモ行進を行った。

セーブルバビロンでは昨年パリ郊外で暴動を起こした若者と同じ
階層者による投石等が行われ警官隊は催涙ガスでこれに応酬する
場面も見られた。

この抗議運動は拡大の傾向を見せており、18日にはパリの中心部
でのデモ行進が予定されている。


簡潔に表現すれば今、パリではこのような事態となっている。
以下、この事件の背景および構造について僕なりの解説を書きます。


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<CPE法案とは>
そもそも、この事件の焦点となっているCPE法案とは何か。CPE法案(初期雇用契約法)
はドビルパン首相が若年層の雇用促進のために提案した法律。その骨子は雇われてから
2年以内は雇用者側に自由な解雇権限を与えたこと。これには一体何の意味があるのか。
18歳から25歳の若年層の失業率が23%と、極めて高い数字になっていることがフランス
の社会問題となっている。そこで、この数字を下げるにはどうすればよいか。雇用を増やせ
と声をあげても、雇用が増えるわけでもなければ景気がよくなるわけでもない。とすれば、
「回転を良くすれば数字は上がる」と考えたのではなかろうか。すなわち、雇ってから2年
以内の若い人達を、いわば使い捨て的に次々と雇っては解雇と自由に出来れば表面的な
失業率は下がるように見えるのではなかろうか。そんな考え方がこの法案の背景に意識
としてあるのでは、と僕は思った。

<事態の流れ>
まず、この法案の影響をもろに受ける大学生がパリ中でストに突入した。パリにある13の
大学はすべてストに突入し、その動きはフランスの地方にも波及した。なかでもパリ第3、
第4大学、通称ソルボンヌはキャンパスをバリケード封鎖し学生は授業をボイコット。構内
に立てこもった。
ところが、このCPE法案は3/9に上院で可決され法案としては成立してしまった。
翌朝3/10に警官隊がソルボンヌのバリケードを突破し学内に突入。事態は一気に
硬化していく。つまりCPEという若者の雇用に関わる問題を大学生が抗議活動をして
いたというレベルから、それを強硬な手段で押さえ込もうという当局に対する反発運動
へと性格が転化していったのだ。そのシンボルが国内の治安維持を司る内務大臣の
サルコジ。ドビルパンのCPE法案は、この時点で反サルコジという運動に転じていった。
成立してしまったCPE法案を撤回せよ、という抗議行動が相次ぐ。しかし、それに対し
ドビルパンは3/12夜、CPE法案の撤回を否定。事態はさらにエキサイトしていく。

<三つの勢力、三つの思惑>
第一の勢力は、学生。大学生から高校生まで、CPE法案による直接の影響を受ける
者達が街頭を行進し抗議のシュプレヒコールをあげる。しかしこれは端から見ている
と極めて健全な行動と僕は思った。学生達は手作りの旗を掲げ、フェイスペイントを
施し、半ばお祭り気分でこの運動をしているように僕の目には映った。
第二の勢力は、労働者団体。サンディカと呼ばれるプロの労働組合がフランスでは
大きな力を持っている。CPE法案は若者だけではなく、ひいては労働者全体の権利
をないがしろにするものである。そこで、自分たちの子供達を守るために抗議行動に
参加している。やや年配層の人達がこれにあたる(写真下参照)。

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問題は第三の勢力にある。去年パリ郊外、フランス各地で暴動をおこした
連中がこの騒ぎに乗じてパリに乗り込んで来ている気配がある。彼等は実に用意周到。
警官隊に投げるための石も準備してきている様子だ。前述したように大学生を中心とする
雇用政策に抗議するデモから反サルコジに感情が変わってしまった。その期に乗じて、
例の暴動の際から不満を募らせてきた連中が警察を相手にことを構えようと手ぐすねを
ひいてチャンスをうかがっているのだ。


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セーブルバビロンでこれ以上の進入を防ぐ警官隊のバリケードに
発煙筒が投げられた。これをきっかけにエキサイトしていく。


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サルコジのお面を被った第三の勢力が挑発行為を繰り返す。


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ついに警官隊との小競り合いとなる。


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そして、催涙ガスによる警官隊からの応酬という事態に発展した。

この事態に僕はとても邪悪なものを感じた。

学生や若者の権利に関わるものであり、それを正当かつ平和的な行進という形で
社会にアピールするのは健全な行為だと思う。しかし、その運動の場を利用して、
酒をしたたかに飲んで理不尽な暴動を起こす輩の鬱憤晴らしの場に転じてしまうこと
は、全くもってスジが違うことだと、僕は憤りすら感じた。

この事態については追ってレポートする所存です。

長文お読みいただき、ありがとうございます。

催涙ガスの洗礼を初めて浴びました。目や喉が辛いように痛かったです。

硬い話題で恐縮ですが、今日もクリックよろしくお願いいたします。
18日も出撃します。
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by paris-tsuzuki | 2006-03-17 09:02 | ジャーナリズム