「パリ Paris」 カメラマン都筑 清の写真ブログ

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2006年 03月 30日

フランス CPE(初期雇用契約法)vol.7

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3月28 日に行われたデモについて
レポートします。

<今までの経緯>
CPE(初期雇用契約法)に反対する
デモは学生レベルから全労働者まで
拡大。18日のデモでは家族連れの
姿が見られるなど、国民一般の関心
も高くなっていった。しかし、20日、
ドビルパン首相の法案撤回拒否に
対し28日に労働組合は全面ストで
対抗。

一方、21日にアンヴァリッドで行われ
たデモの際、カスールと呼ばれる
郊外からの過激分子が数百人規模
でパリに流入。暴力行為が激化した。


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<イタリー広場>
3月28日午後2時半プラスディタリー(イタリア広場)に学生と労働者団体が集結。
上の写真は「CPEは失業、不安定、搾取の頭文字だ」と書かれたプラカードを掲げる学生。
広場の周辺にはホットドッグの屋台が立ち並び、労働組合の気球があげられる。
気球やシールなどは資金力と組織力が労働組合にあること。同時にフランスでは
こういったデモ自体は珍しいことではないことの現れでもある。

ただ18日のデモとの比較で、家族連れや子供の姿がほとんど見られない点が大きく
異なる。空を覆う暗い雲は、この日のいやな雰囲気を象徴しているように見えた。


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午後3時過ぎ、学生や労働者は各グループごとにゆっくりと行進していく。
グループの先頭にいる者がマイクでシュプレヒコールをあげ、それに皆が唱和するという
ごく平和的なもの。


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しかし、早くも沿道には不穏な空気が漂いはじめる。
カフェのガラスが叩き割られ、スーパーや商店は店を締めシャッターを降ろす。

<帰って来たカスール>

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学生や労働者の団体の先に郊外からやってきた暴力的な若者の集団
カスール(壊し屋という意味)が数百名の規模で集まってきている。彼等はプラカードや
横断幕を持ってはいない。ジャージかジーンズにパーカー姿。最初から顔を隠すための
布を巻き付けている者もいる。突然、雹(ひょう)が降りだし、あたりが暗くなる。カスール
の一団が奇声を発しながら走り出す。彼等の足音と叫び声がシャッターを閉ざした通り
に響きわたる。それは不気味な光景だった。

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<カスールの手口>
カスールは一グループ約30人ぐらいの集団で行動する。お金になるモノを持って
いそうで弱そうに見える人を囲みボコボコにする。そして巻き上げたら次の獲物を
探しにいく。目をつけられたらおしまいだ。

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不安を覚えた中年の女性が「家に電話をかけたいので携帯を貸してほしい」
と声をかけてくる。カスールが近くにいるところで携帯電話を見せることは金目のモノを
見せることになるので路地を固める警官隊の近くまでいく。


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<レプブリック広場>

デモの終点レプブリック広場ではジャグリングなどのパフォーマンスをする
若者の集団もいる。


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しかし、数十メートルしか離れていないところではカスールによる挑発行為と
ビンや石を投げつける騒ぎが早くも始まっていた。

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カスールと対峙する警官隊。もはやお馴染みの構図となってしまった。
しかし、28日は少しばかり様相が違った。今までは、ガス抜きだとばかりに一定の区画で
警官隊とカスールがやり合い、それをマスコミがカメラで追いかけるという形だった。
ところが、その言わば戦闘区域が限定されず戦線が移動しながら小競り合いが多方面で
展開されているのだ。

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もはや、誰がカスールなのか学生なのか労働者なのか見物人なのか、
マスコミなのか、あるいは私服警官なのか。よくわからない混乱がそこにあった。

<混沌と混乱>

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警察が単なる見物人を蹴散らす。逮捕する瞬間を撮影しようとしたマスコミやカメラマンを
背後から誰かが押す、すると警官はマスコミやカメラマンに警棒を振り上げる。最悪の状況。

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ビール瓶が放物線を描き投げ込まれ地面に砕け散る。ペンキをいれた風船
が割れて路上に抽象画のような模様がひろがる。

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火炎瓶が投げ込まれ警官隊が鎮圧に走る。
火炎瓶を投げた男はカスールではなく白人の中年男性らしい。

混沌と混乱、無秩序と無意味な暴力だけがそこにはあった。

何のための運動なのか、もはやわからない。

皆で力を合わせて社会を変えよう。子供達によりよい未来を残すために
政府の横暴を許すな、という原点など見えないありさま。

そこにあるのは警察に対する憎悪であり、反乱分子に対する憎悪。

フランス社会の最暗部を覗いてしまったような気がした。


CPE(初期雇用契約法)撤廃をめぐる動きが今後どのようになるのか、
現場ではまったく先の見えない状況でした。

この事件については状況が動き次第、またお伝えしていきます。


今後とも応援よろしくお願いいたします。
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by paris-tsuzuki | 2006-03-30 00:31 | ジャーナリズム


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