2005年 12月 03日
こちらのスーツ姿の男性。 いかにもパリのビジネスマン といった様子。ネクタイの色 とバッグの色をうまくコーデ ィネイトしている。どこのブ ランドのバッグかを聞くと、 申し訳なさそうにロンドンの メーカーのものだと、答えて くれた。 ところで、パリでスーツ姿の 男性を見かけることは日本と 比べると格段に少ない。それ はなぜなのだろうか? まず、フランスは基本的には 農業国であり銀行員や証券業 など、スーツを着なければなら ない職種についている人口その ものが少ないことがあげられる。 この写真が気に入ったらコチラに一票! 逆に考えてみよう。なぜ、日本は スーツ姿の男性が多いのだろうか。 それは、制服文化に原因があるの ではなかろうか。スーツを着ている イコールちゃんとした仕事をして いるという図式から、本来、スーツ を着る必要のない仕事をしている人 もスーツを着なければ、という気持ち にさせられるのでは、なかろうか。 「人を外見で判断してはいけない」 という言葉があるが、服装は本来 とても多くの視覚的情報を内包して いる。つまり、身につけるものは、 その人がどういうモノを買うのか、 という個人の選択肢の集大成的な ところがある。したがって、その人 の服装を詳細に見ていけば、何が 好きで、何に一番の興味があるのか がわかる。すなわち、本来「人は 外見で判断が可能」なのである。 要するに、服装は個人の内面を外部に表現するものなのだが、それを 阻むのが制服文化。日本はフランスに比べて、実に多種多様な制服が存在している。 例えば、飲食店に行けば中華料理屋ではチャイナ服を着た人が働き、キャンペーン ガールが街のいたる所で何かを配ったりしている様子がうかがえる。パリのカフェ でも、いわゆるギャルソン服を着ているのは、ごく一部の店に過ぎず。エプロンさえ もしない人が立って働いているようなので、この人がお店の人なのだな、と判断する ほかない。確かに、制服には「この人は何をしている人だ」ということを明確にわか らせる機能がある。しかし、同時に制服はそれ以上のことは、決して語らないという 防御機能があるように思えてならない。その背後には「○○らしく」という日本の 伝統的道徳概念が横たわっている。例えば、「もっと、女の子らしく、、」という 言葉や「その態度は男らしくない」という慣用句が存在しているように、「○○らし い」という事が日本ではとても大切なことにされている気がする。それは、男女の性別 だけでなく、ありとあらゆる分野に及ぶ。「○○らしく」あるために、制服が必要と なるのだ。そのため「ちゃんとした仕事をしている」ということを示すために、それが 必要ではなくとも、スーツを着るという行為につながる。だから、日本では、スーツ 姿の男性がとても多いということになるのでは、ないだろうか。 一方で、日本という国は制服文化の防御機能が必要なのでは、とも思う。つまり、 制服を着用することで、それ以上、余計な他人からの干渉は受けないという、いわば 防波堤的な役割がある。スーツを着て会社の名刺をだせば、それ以上の詮索はない。 制服を着ていれば一目で女子高生とわかる。ただ、それ以上の個人としての人格は 表現できないし、知られたくない。そのため、制服を着用するのが望ましいという 論理になる。 かかる制服文化を踏まえたうえで、日本の格言は意味を持つ。 「人を外見で判断してはいけない」なんらかの制服に包まれている限り、その人の 本当の内面は理解できない。ということを、この格言は伝えているのかも知れない。 この話に「なるほど」と思ったら、コチラに一票! ご感想・撮影依頼はこちらまで
by paris-tsuzuki
| 2005-12-03 07:19
| エッセイ
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